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最高裁判所第二小法廷 昭和22年(れ)260号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人の辯護人井本常作上告趣意書は「被告人の年齡が其責任刑事訴訟手續裁判等に大なる影響も及すものである事は明であります、從って裁判所取調べに當りては被告人の年齡を訊問し之れが明確を期さなければならない、然るに原審公判調書を査閲するに裁判長は被告人に對し訊問すること左の如し、問氏名、年齡、職業住居、本籍及出生地如何答、氏名は福地進年齡は大正六年一月三十日生と記載あり、判決書には大正六年八月三十日生とありて右何れが真実であるか不明確であり此年齡の點を明にせず漫然有罪の判決をなしたるは違法であるから破毀するを相當と信ずる。」といふにある。

按ずるに、原審第一回公判調書には被告人の年齡として大正六年一月三十日生と記載されてゐることは所論の通りであるが之を被告人の身上取調書その他本件記録に徴するときは右は大正六年八月三十日生の誤記であること明であり、原判決は其の正しきに從って大正六年八月三十日生と表示したものであるから、原判決には所論のやうに被告人の年齡を明にしなかったといふ違法はなく論旨は理由がない。

仍って、本件上告は理由がないので刑事訴訟法第四百四十六條により主文のとおり判決する。

此の判決は裁判官全員の一致した意見によるものである。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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